中学受験 理科の勉強法を合格者が単元別に紹介!合格の秘訣を伝授

中学受験 理科の勉強法

昨今の中学受験はほとんどの学校で4科目受験が選択されています。ただし、4科目すべての授業を受けて、なおかつ宿題をこなして理解を進めるというのは決して簡単なことではありません。特に足を引っ張る科目の一つが理科です。

理科が苦手、成績が安定しないと感じるお子さんはとても多くいます。お子さんも成績の不安定さから余計に苦手意識も持ちやすく、なおかつ嫌いだと感じる傾向が強いです。ネガティブな感情を抱いてしまうとそこからの切り替えは難しく、受験勉強もはかどらなくなってしまいます。

こういった事情から、中学受験で理科の勉強方法で悩む人たちは多くいます。そこでこの記事では、中学受験の理科の学習方法としておすすめの方法を分野ごとに紹介をしていきますので是非参考にしてみてください。

目次

中学受験の理科が難しい理由

なぜ中学受験の理科は苦手意識がもたれたり、なかなか成績が上がらなかったりするのでしょうか。

分野の広さ

中学受験の理科では、生物・化学・物理・地学という4つの分野から出題がされます。どれか一つの分野に偏るのではなく、まんべんなく出題されるのが一般的です。そのため、不得意な分野があると、なかなか点数が伸びなくなってしまいます。

生物や地学は暗記系とされる内容ですが、化学や物理は計算系とされる内容です。ほかの科目と違い、理系と文系の両方の力が求められます。そのため適切な勉強方法がイメージできず苦手意識が持たれやすいです。

勉強方法がわからない

さらに、理科は暗記するだけでは知識が定着しません。そして知識が定着しなければ得点にもつながらないです。そのため、子どもたちも「どうすれば点数が伸びるのかわからない」という状態に陥りやすくなります。

理科というのは物事の理(ことわり)を知る学問です。そのため、様々な事象に対して「なぜ起こるのか」「どうしてそのような結果になるのか」ということを一つひとつ理解することが必要になります。興味関心を持つことで、こういったものの考え方、とらえ方というのはできるものであり、教科に対して興味関心を持てないとなかなか点数が伸びません。

小学校での学習内容との乖離

中学受験で理科の試験を実施する大多数の学校が「小学校で習う内容理解できれば対応できる」とか「小学校の教科書内容をベースにしている」といったことをいわれます。たしかに小学校でも4分野が教科書には掲載されていますが、入試問題に完全に対応することは難しいです。小学校の授業内容をベースとして、さらに思考力や応用力が問われます。

多くの学校は入試問題に「こういう子に入学してほしい」というメッセージを込めています。だからこそ、単純に知識の暗記をするだけでは解けない問題がほとんどです。例えば、生物と化学など異なる分野の知識を活用するような問題が出題されたり、知識をもとにデータを読み取って答えを導いたりするような複雑な問題が出題されます。

苦手意識の植え付け

理科は4分野あるため、誰にとってもどこか得意な分野があるはずです。そのため本来は理科が苦手という子はいないと考えられます。様々な分野があるからこそ、その中に何か好きな分野や得意な単元を見つけられるはずです。

しかし、大人はどうしても得意よりも苦手に目が行く傾向があります。そのため、テストの点が悪かった時に「あなたは文系だもんね」とか「虫が嫌いだから理科は好きではないよね」といったネガティブな声を掛けがちです。このような経験が子どもたちの理科への苦手意識の原因となります。

誰だって得意と不得意、好きと嫌い、という両方があるものです。だからこそ、不得意や嫌いといったネガティブにばかり目を向けるのではなく、得意や好きといったものを伸ばすことを考えるようにしましょう。一つでも子どもたちにとって自信の持てるものができれば、理科が好きになり点数も伸びるようになります。

中学受験の理科を得意にするために知っておくべきこと

では、具体的に理科を得意にするためにどのようなことを知っておくとよいのでしょう。問題の解き方、教科の特性として知っておくべきことを紹介します。

理科の問題の特性を知る

これまでに述べた通り、理科は訓練をしていけば点数が取れるようになる科目です。大問の下位に小問がつづく枝分かれ上になっている問題形式のことを「枝問」といいます。枝問というのは誘導型の問題となっており、順に解いていくことで最後の問題まで答えが出せる仕組みになっています。

この仕組みを使っていけば、コツをつかめば点数が取れるようになるのです。同様に枝問となっている科目に算数がありますが、算数は枝問ではありますが、独立した問題形式に近く、上位部分で出た答えを活用していきます。

関連知識として活用できる理科とは少し形式が異なるのです。理科はある程度その単元の知識をつかんでおけばコツをつかめば点数が伸ばせるため、諦めるのはもったいない科目と言えます。

暗記科目ではないことを理解する

理科は覚えることが多くあります。しかし、覚えなければ何も解けないわけではありません。覚えてなくても解ける問題が多くあることを理解すると、理科の点数を伸ばしやすくなります。

理科が苦手な人、なかなか点数が伸びない人の多くは知識を暗記することにばかり目が行くものです。たしかに、化学や物理のような計算問題よりも知識を暗記したほうがすぐに点数が伸びる印象があります。

しかし、これまでにも述べている通り理科はただ暗記すれば解けるものではありません。そのため通り一遍に暗記だけさせることでは得点アップにつながらないことを理解したうえで、勉強方法を検討することが大切です。

日常的に理科にかかわる会話をする

身の回りには理科にかかわる知識を活用する場所が多くあります。「洗濯物が早く乾くのはどのような日か」といったことや「なぜ飛行機が飛ぶのか」といったことも理科にかかわりのあることです。

日常のニュースでも、普段の生活の中でも、このような理科にかかわるものは多くあります。保護者がすべての答えを知っておく必要はありません。お互いに「なぜだろう」という疑問を持ち、調べたり知識をもとに考えたりすれば十分です。

保護者がわからず悩む様子を見せることも子どもたちにとって「わからないことは恥ずかしいことではない」「知ることが大切なんだ」という理科の勉強の姿勢を身につけるきっかけにもなります。家族でクイズ番組を見て問題の答えを言い合ったり、解説を聞いて学んだりするのも効果的です。

小学校低学年のうちに理科に触れる機会を作る

理科について学べる機会として、博物館や科学館に行くことはとても有効です。しかし、小学校5年生以降には、塾が忙しく、土日も模試や学校見学が入ることが増えてそのような時間はなかなかとることができません。そこで、小学校低学年のうちから理科に触れる機会を多く設けておきましょう。

どうしても、理科の授業が始まるのが小学校中学年からですし、子どもたちもなかなか興味関心をもたず行きたがらないケースも多いです。しかし、早いうちから足を運んでおくことで、理科の授業に対しても、興味関心を持つこと、知っていたり想像できたりすることで苦手意識をなくすことができます。

中学受験の理科で点数を落とすのは危険

人には得意不得意があること、傾斜配点が敷かれていることから、理科は捨てても大丈夫、と思われることがあります。しかし、中学受験において理科で点数を落とすことにはリスクがあることを理解しておきましょう。

理科は枝問が多い科目

理科の特徴として「枝問」が多くあります。枝問というのは大問の中にある小問がいくつか関連された問題が出題されるという形式のことです。関連した問題が出題されるため、順に解き進めていくことで、前の問題が次の問題を解くためのヒントになる仕組みになっています。

知識があることによって、完全にすべてを理解していなくても、他の問題がヒントになることである程度は問題が解ける仕組みになっているのです。

枝問の形式というのはすべての科目にあるものではありません。国語や社会はほとんどの問題が独立した形式です。理科と社会は似たような科目に思われがちですが、枝問があるかないかという点が大きく異なります。そのため他の科目と同じような勉強方法をとっていることが、点数が伸び悩む原因となることもあるのです。

理科の正しい勉強方法を理解することが大切

枝問になっているため、すべてを理解していなくても解ける問題がある、という伝え方をすると、雑な勉強でも十分点数が取れるようになると勘違いされることがあります。もちろん、理科も正しく勉強しなければ点数を取ることができません。しかし、枝問になっている特徴を理解することで、暗記をすることができれば他の科目よりも早く点数を伸ばすことができるようになります。

理科が苦手だと思い込んでいる人の中には、勉強方法が理解できていないだけという人がとても多いです。勉強方法を理解すれば点数が伸びるのはもちろんですが、勉強時間の短縮にも大きく役立ちます。今一度、理科の勉強方法を各分野ごとに見直してみましょう。

中学受験 理科の勉強方法を単元別に紹介

では、具体的にどのように勉強を進めていけば理科の成績を伸ばすことができるのでしょうか。分野ごとに見ていきましょう。

中学受験 理科の勉強方法 ~生物~

生物は暗記を中心としている分野であり、知識量が点数に大きく影響します。そのため、どれだけ細かな情報まで正確に覚えられているかが勝負になる分野です。そこで、正しく知識を身につけていく取り組みが必要になります。

まずは単元ごとに覚えるべき知識を整理していきます。授業の内容を確認したり、ノートに書かれていることを見直したりして、暗記するべき項目を確認しましょう。その際、ただ見ているだけでは覚えることはできません。書きながら、読みながら、といったように五感を使いながら覚えることが大切です。やみくもに書くだけでなく、図や表にまとめるのもよいでしょう。

ある程度知識のインプットができたら、問題演習を行っていきます。生物は難易度の高い問題が出題されることもしばしばです。

しかし、問題のパターンは出尽くしているので、繰り返し説いていけば一通り網羅することができます。普段の授業の問題集や模試にしっかりと取り組むだけでなく、入試前は過去問でも実践練習を積めば、得点源となる分野に仕上げられます。

中学受験 理科の勉強方法 ~地学~

地学も生物と同様に基本的に暗記が中心の分野です。そのため、まずは教科書を読んだりノートを見直したりして授業の内容を理科して知識頭に入れていくようにします。その後、問題演習を重ねることで知識を確実なものに仕上げていきましょう。

地学では原理の問題も多く出題されます。ある程度パターンが決まっているので、繰り返し解けば暗記できますし、パターンにも対応が可能です。計算問題が出題される分野もありますが、これも原理の理解と同様にパターンが決まっているので繰り返し取り組んでいけば、模試でも入試でも対応ができるようになります。

中学受験 理科の勉強方法 ~物理~

物理は暗記がほとんどなく、計算問題が中心の分野です。そこで原理をどれだけ正しく理解しているかが大切になってきます。最初からすべてを理解することはできません。まずは原理を確認し、公式を暗記し、解けるものから少しずつ取り組んでいくようにしましょう。

わからないうちは暗記するまで同じ問題を何種類か解くのも効果的です。解いていくうちに問題を暗記するようになると、だんだんと計算式と原理が結びついてくるようになります。一つのパターンが理解できるようになると、同じ公式を使うもの、同じ原理の問題、というのが見えてくるようになります。パターンを理解して頭に入れていくようにしていく、という点では暗記科目と通じるところがあります。

中学受験 理科の勉強方法 ~化学~

化学も計算もないが中心の分野です。しかし、物理に比べれば暗記すべき用語も多くあります。そこで、まずは語句を覚えることから始め、得点源を作っていくようにしていきましょう。

少しずつ語句が頭に入ってきたら計算にも取り組んでいきます。化学の場合には、火を使った問題が多く出題されます。そのため、どれとどれを比で表すことによって式が立てられるようになるのか、というのを一つ一つ確認しながら解くようにしましょう。

また、計算も複雑なものが多く出てきたり、前の問題で求めた答えを次の問題で使うというものも出てきたりします。計算力が必要となる問題が多いので、理科とは若干異なりますが、日頃から計算問題はしっかりと取り組んで計算力も合わせてつけておくようにしましょう。

中学受験で理科問題が解けるようになるまでに取り組むべきこと

理科が苦手な子はどういうことに気を付けながら進めていくと問題が解けるようになるのでしょう。解けるようになるまでに大切なことを紹介していきます。

やみくもに暗記をしようとしない

先ほどまで分野別の学習方法でも「知識の暗記が必要」といったことを伝えてきました。そのため、暗記しないということに矛盾を感じるかもしれません。理科は覚えるべきことが多くある科目ですが、何もかもが暗記が必要というわけではなく、その線引きが大切です。

理科が苦手なうちは自分で線引きすることが、なかなかできません。塾の授業をしっかりと聞くことで、覚えるべきことが何かが明確になってきます。先生が何度も口にすることや強調することが暗記するべきことであり、最初に覚えるべきことです。

塾の授業は大切にし、しっかりと先生の話を聞く、そして家に帰ってからもまずは先生が何を言っていたかの確認をすることから始めましょう。大事なところがどこかを確認し、その部分を覚えることで知識の核ができ、暗記もスムーズに進むようになりますし、ただやみくもに覚えるのよりも効率的でなおかつ頭に残ります。

正しく問題演習に取り組む

問題演習をどのように行うかも理科ができるようになる重要なポイントです。ただ解いて丸つけをするだけでは力になりません。解いて丸つけをしたら、間違えていたところの確認が大切です。なぜ間違えたのかを分析してみましょう。

漢字を覚え間違えていたのか、覚える内容を勘違いしていたのか、そもそも覚えていなかったのか、など、同じ間違えでも間違えた理由は様々です。この分析作業をすることにより、知識に残りやすくなります。

また、計算問題は正解していればよい、とは考えず、式も正しく書けているかきちんと確認するようにしましょう。授業で習った方法を使わず自己流で解いて丸になるというケースもありますが、あまり好ましくありません。正しい方法をきちんと身につけることで、応用力が身に付きます。

型を理解する

物理や化学の計算問題は「型」があります。多くの塾では、授業の中で型を指導してくれます。型というのは公式のようですが、式だけでなく解き方のパターンまでを覚えるのが特徴です。ただ公式を覚えるのではなく、公式の使い方までを理解することで、問題の解き方を理解することができます。

とはいえ、型も公式と同様にただ覚えれば解けるというわけではありません。どのような仕組みになっており、なぜ型にはめると答えが出るのか、という流れを理解しておくことが必要です。仕組みを正しく理解しておけば応用力が身に付き、様々なタイプの問題にも対応ができるようになります。

楽しく勉強できる仕組みを作る

いくら受験生とはいえ、子どもたちも苦手な科目の勉強は楽しくないと感じたり、やりたくないと思ったりすることもあります。誰だって苦手なものは避けたいと思うものです。そこで、少しでも子どもたちが理科の勉強が楽しいと思える仕組みづくりを保護者は心がけましょう。

具体的には、理科の知識が身につくアプリを取り入れたり、図鑑を用意したり、クイズ番組や教育番組で知識を得たりする方法がおすすめです。アプリだけで受験に必要な知識は身につけられません。

しかし、遊び感覚で知識の復習ができる一問一答式のアプリや、実験の映像が見られるアプリといったものであれば、息抜きの時間に取り組めて、なおかつ子どもたちも楽しみながら活用することができます。

最近はクイズ番組も小学生の授業内容や中学受験内容を取り扱うものが増えてきています。そういったものを見ることで、復習の時間を作るようにすればとても効率的です。食事の時間に家族で見てコミュニケーションの時間を作るのも良いでしょう。

ただし、家族でクイズ番組を見る際には、子どもが答えられないからといって責めるような発言をしたり、間違えたことを咎めたりすることはしないことが大切です。楽しみながら自然に知識を身につけられるよう、間違えたり答えられなかったりしても「これをきっかけに覚えられるね、よかったね」といったポジティブな声掛けをするようにしましょう。

中学受験 理科の勉強方法まとめ

ここまでで、苦手な子も多い、理科の勉強方法について紹介をしました。理科には4分野あるので、それぞれの分野ごとに必要な勉強内容が異なります。分野に合った適切な勉強を行うことが得点アップに大切です。

また、理科の成績を上げるためにはやみくもに取り組んでいても意味がありません。取り組む際のポイントについても合わせて紹介をしましたから、ぜひ参考にしてみてください。正しく取り組めば苦手な子も多い理科の問題でも点が取れるようになり、周りに差をつけることができます。

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