中学受験の準備では、小学4年生からの4教科の学習が一般的ですが、これは子どもたちにとって大きな負担となることがあります。塾での授業に加えて宿題をこなす日々は、時に「塾がつらい」「受験をやめたい」と感じさせることもあるでしょう。
子どもたちの負担を減らし、受験勉強を楽しく進めるためには、効果的な勉強法が重要です。効率よく学習することで、知識がしっかりと身につき、勉強時間の短縮と、模試での得点アップを実現できます。
そこでこの記事では、中学受験において特に重要な地理の学習方法に焦点を当てて解説します。地理が重要な教科である理由と具体的な学習方法を理解することで、保護者の方々も子どもたちに対するサポートへ役立てることができるでしょう。
中学受験で地理を苦手にしてはならない理由
中学受験の学習を行う上で、最初に学習するのが地理分野です。地理は社会を学習していくにあたり、とても重要な公式のようなもので、小学4年生から6年生まで共通する内容になります。
まずは一番初めに白地図と都道府県を覚えることです。具体的に覚えなければならないものとして、白地図は「山地・山脈・山・火山」「平野」「川・湖」「盆地・台地」「半島・岬」「湾・海峡」都道府県は「各都道府県の形」「都道府県の場所」「各都道府県の県庁所在地(都道府県名と県庁所在地名が違う場合は注意)」があります。これが算数でいうところの公式になるものです。
中には「都道府県は入試に出ないから覚えなくていい」と考える人もいます。しかし、これらが身についている子と、身についていない子とでは、小学校5年生以降の成績の伸びが全然違います。白地図が頭に入っていることで、地理の情報が頭に入りやすく、それ以降の歴史や公民の知識も盤石なものになっていきます。
社会が苦手な子の特徴としては「社会を後回しにしてしまっている」「暗記が苦手」「丸暗記している」などがあります。中学受験の地理は、基礎知識があることを前提に問題が出題されるため、覚えることができないとどのような問題も解くことが難しくなってしまうのです。社会の成績が伸び悩んでしまっている時は、丸暗記ばかりしていないかを確認してみましょう。
地理は4年生から6年生で学習しますが、他の教科を優先してしまい、社会を後回しにしてしまいがちです。他の教科の負担が少ない4年生・5年生の段階で中学受験の地理の勉強を始めるだけで、学習がスムーズに進むようになります。
中学受験 地理の勉強法【効率良く勉強する方法】
国語・算数・理科・社会の4教科の中で、社会というと暗記教科のイメージが強くあります。そのため、中学受験の社会の勉強方法といえば、前にも述べた通り、丸ごと暗記をするものと思われがちです。しかし近年の入試問題は暗記するだけでは、対応できなくなっています。そこで、中学受験地理の効率の良い勉強方法がとても大切になってきます。
地理を学習する上で大切なことは、知識を単体で覚えようとせず、つながりを意識して覚えるということです。身近にあるものと結び付けて覚えたことは、暗記をして覚えたことよりもいつまでも頭に残りやすくなります。そして思い出しやすいです。
語句を答えるだけの入試問題ならば、ただ暗記をすれば答えることができます。しかし近年の入試問題は知識のつながりを理解していなければ、答えることができない問題が増えてきています。そのため、なぜそうなるのか、ということを意識して知識のつながりを意識して覚えていくことが、一見遠回りに見えて一番効率の良い覚え方なのです。
さらに地図帳を必ず手元に置いて、教科書の内容を確認しながら覚えることも心がけましょう。地図帳には、日本全国の気候の特徴や降水量など、必要な情報が載っています。わからない場所などはその都度確認しておくことで、知識と場所を紐づけて覚えやすくなります。
中学受験 地理の勉強法に関するQ&A
中学受験の地理の学習で多くの人が悩むことを、Q&A形式で答えていきますのでぜひ参考にしてみてください。
中学受験地理を旅行で覚えさせたいです。おすすめの場所を教えてください。
中学受験の勉強中でも、旅行はしたいですよね。最近では「旅育」という言葉があるほどです。旅行に行くことで、教科書の内容を実際に見聞きすることができ、頭にも残りやすくなります。そこで、地理の勉強になるおすすめスポットを紹介しますのでぜひ参考にしてください。
社会の勉強ができる旅行として外せない場所の一つが北海道です。例えば、根室市は水産業が盛んで、北海道有数の水揚げ量をほこっています。日本最東端の納沙布岬があり、納沙布岬からは、北方領土が見えます。地図で北方領土が取り上げられることもあるので、見学しながら北方四島の名前や漢字を確認するのもよいでしょう。
同じ北海道の道東エリアであれば「知床」も大変おすすめです。世界遺産の登録地でもある壮大な自然は、圧倒されること間違いないでしょう。さらに根釧台地も有名ですし「別海町」は酪農の町としても有名ですので、酪農を知るために訪れると良いでしょう。
せっかくの機会なので、旅行に行く際には保護者がすべて解説するのではなく、しっかりと自分で考えさせることを心がけてください。事前に子どもに予習させ、現地でガイドをさせるのもよいでしょう。自分で考え学び理解することが、何よりも大切なのです。
中学受験の北海道「地理」分野の重要ポイントを教えてください。
北海道の面積は全都道府県の中でも最大で人口534万人です。これは全都道府県中8位になります。しかし人口密度は全都道府県中最下位です。北海道の県庁所在地は札幌市で政令指定都市に指定されています。札幌市の人口は約200万人で、全国で4番目に人口が多い市なのです。札幌市は「雪まつり」などが有名で観光地としても有名です。
雪が積もるので、降水量が多いと思われがちですが、北海道の降水量は多くありません。雪が多い理由は気温が低く、雪が溶けないからです。梅雨もなければ台風も少ないのが、北海道の気候の特徴なので、年間の降水量は多くはありません。北海道の気候は冷帯(亜寒帯)に属しています。
北海道は一次産業が盛んな地域で、その中でも農業は広い土地を生かしており、じゃがいもや小麦などの生産量は一位を誇っています。また、畑作が盛んなのが十勝平野、稲作は石狩平野で、酪農が盛んなのが根釧台地です。大変多くの乳牛を飼育しており、北海道産の牛乳が全国で生産される牛乳の半分以上を占めています。オホーツク沿岸では漁業が栄え、林業は北部を中心として栄えています。
地形の特徴としては河川が良く出題されます。北海道の河川といえば、石狩川です。石狩川は日本3位の長さで、上流には上川墓地、下流には石狩平野が広がっています。十勝川、天塩川も中学受験ではよく出題されます。
中学受験地理の関東地方で覚えておきたいポイントはありますか?
関東地方とは、東京都と6県(栃木県・茨城県・千葉県・神奈川県・埼玉県・群馬県)のことです。また、関東地方に山梨県・長野県・新潟県を加えて、関東甲信越と呼ばれます。関東地方は千葉県のみ、県庁所在地が県名と同じで、他は県名と県庁所在地が異なっています。埼玉県は読み方は同じですが、ひらがなでさいたま市なので気を付けてください。政令指定都市が多く存在していて、人口も多いです。日本の人口の4分の1が集まっています。
関東地方の気候は、日本海側に雪を降らせた後に、山を越えてきた乾燥している強い風が吹く、からっ風がポイントです。関東地方には、関東平野という、日本最大の平野があり、広さは約1万7000キロメートルあります。関東平野の西側では、関東ロームが広がっており、水持ちが悪いので畑作が行われています。大都市に近いことから、鮮度が重要なねぎやきゅうりなどの栽培をしています。また、千葉県、茨城県にまたがった利根川下流域と霞ヶ浦周辺では、稲作が行われています。
関東地方にある2つの半島はぜひ覚えておきましょう。千葉県の房総半島と神奈川県の三浦半島です。東京湾を囲むように2つの半島があって、どちらも温暖な気候のため、野菜やお花の栽培が盛んに行われています。
中学受験 地理の勉強法を徹底解説!まとめ
中学受験の地理に関して、勉強方法や重要なポイントを紹介してきました。社会という教科はとても範囲が広く、覚えることがたくさんあります。
地理の学習を後回しにせず、ぜひ気になったことや疑問に思ったことを調べて、納得し知識を自分のものにして社会の入試問題に打ち勝ってほしいです。
この記事で紹介したように、やみくもに知識を詰め込むのではなく、つながりを意識して覚えていくことが大きなポイントになってきます。親子で会話をしながら確認したり、旅行に行って実際に体感したりすることで、頭に残りやすく、入試で問われるような応用内容にも対応できるようになります。